この講座の対象者は以下の方を想定しています。
- 数学は中学レベルしか分からないけど統計検定2級に合格したい
- どの参考書を見ても数式だらけで理解できない
- フィッシャーの3原則ってなに?
- 局所管理って何のこと?
この講座では特に、0の状態から統計検定2級に合格したいって方のために、分かりやすさをモットーに解説していきます。
今回は、フィッシャーの3原則についてです。
実験計画を立てる際には非常に重要になってくる3原則ですのでしっかりと覚えていきましょう。
フィッシャーの3原則とは何か?

ある新薬の効果を試すために異なる条件でテストをしてみたり、web広告のABテストをしたりといった、各種実験を行う際には、実験計画を立てる必要があります。
実験計画は、
- 製造業
- 農業
- 医療
- 教育
- マーケティング
など幅広い業界で活用・実施されています。
実験計画とは?
3原則の説明の前に、実験計画とは何なのか?その点をクリアーにしておきましょう。
実験計画とは、実験を効率的かつ効果的に行うための計画です。
実験計画には、実験を行う目的や、使用する変数、実験方法、データの収集方法、データの分析方法などが含まれます。
実験には事前準備が非常に重要で、やみくもに実験を始めてしまっても、無駄にお金や時間を浪費してしまうだけです。
フィッシャーの3原則
そこで大事になってくるのがフィッシャーの3原則です。
これは、R.A.Fisherが実験計画に関して確立した3つの原則のことで、以下の3つです。
- 反復の原則
- 無作為化の原則
- 局所管理の原則
それぞれを深堀りしていきましょう。
反復の原則
フィッシャーの3原則の反復の原則とは、実験を複数回繰り返すことで、偶然誤差の影響を減らして、実験結果の信頼性を高める原則です。
実験では、実験結果に影響を与えるさまざまな要因が存在しますよね。
これらの要因には、
- 実験条件
- 実験者
- 被験者
- 環境条件
などがあります。
これらの要因は、実験結果に偶然誤差として、どうしても現れることがあります。
反復の原則では、実験を複数回繰り返すことで、これらの偶然誤差を平均化することで、実験結果の信頼性を高めることができます。
例えば、
ある薬の効能を調べる実験を行う場合、1回だけの実験では、薬の効能による差と偶然誤差による差を区別することが困難です。
しかし、10回実験を繰り返すことで、偶然誤差による差は平均化され、薬の効能による差がより明確に表れやすくなります。
反復の原則は、フィッシャーの3原則の中で最も重要とされる原則です。
実験の信頼性を高めるためには、反復の原則を必ず守ることが重要です。
反復の原則を適用する際の注意点
反復の原則を適用する際には、以下の点に注意する必要があります。
- 実験の対象を同じ条件で繰り返し測定すること
- 実験条件を厳密に管理すること
- 実験の回数を適切に設定すること
実験の対象を同じ条件で繰り返し測定することで、偶然誤差の影響をより正確に評価することができます。
また、実験条件を厳密に管理することで、偶然誤差の発生を抑えることができます。
さらに、実験の回数を適切に設定することで、偶然誤差を平均化しながら、実験のコストや手間を抑えることができるのです。
無作為化の原則
無作為化の原則とは、実験対象を無作為(ランダム)にグループ化することで、系統誤差の影響を減らす事です。
例えば、ある薬の効能を調べる実験を行う場合、実験対象を年齢や性別、体格などによってグループ化してしまうと、これらの要因によって実験結果に系統誤差が生じる可能性があります。
しかし、実験対象を無作為に処理群に割り付けることで、これらの要因の影響を均等に分散させることができ、系統誤差の影響を減らすことができます。
無作為化の原則を適用する際の注意点
無作為化の原則を適用する際には、以下の点に注意する必要があります。
- 無作為化の方法を適切に選択すること
- 無作為化の対象を適切に設定すること
無作為化の方法を適切に選択することで、系統誤差の影響をより効果的に均等に分散させることができます。
また、無作為化の対象を適切に設定することで、系統誤差の発生をより効果的に防止することができます。
局所管理の原則
局所管理の原則とは、実験の条件や環境を一定に保つことで、系統誤差の影響を減らして、実験結果の信頼性を高める原則です。
実験では、実験結果に影響を与えるさまざまな要因が存在することは話しましたね。
局所管理の原則では、これらの要因である、実験の条件や環境を一定に保つことで、系統誤差の影響を均等に分散させることができます。
例えば、ある薬の効能を調べる実験を行う場合、投薬する時間帯や場所によって実験結果に差が生じる可能性があります。
ですので、実験を行う時間帯や場所等を一定に保つことで、系統誤差の影響を減らそうというのが、局所管理の原則です。
局所管理の原則を適用する際の注意点
局所管理の原則を適用する際には、以下の点に注意する必要があります。
- 実験の条件や環境を一定に保つための対策を講じること
- 実験の条件や環境を測定して、その変化を記録すること
実験の条件や環境を一定に保つための対策を講じることで、系統誤差の影響をより効果的に均等に分散させることができます。
また、どうしても条件や環境が変わってしまう場合も現実にはあります。
そんなときも、実験の条件や環境を測定し、その変化を記録しておけば、系統誤差が発生した場合にその要因を特定しやすくなります。
フィッシャーの3原則まとめ
まとめますと、フィッシャーの3原則は以下の3つです。
- 反復の原則
- 無作為化の原則
- 局所管理の原則
効果的な実験計画を立てるためにはこの3つの原則が重要になってきます。
簡単に言うと、「実験回数を増やし、グループ化はランダムに、そして実践の条件や環境を一定に保つ」これが重要になのです。
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