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条件付き確率と確率の乗法定理【0から始める統計検定2級講座⑨】

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この講座の対象者は以下の方を想定しています。

  • 数学は中学レベルしか分からないけど統計検定2級に合格したい
  • どの参考書を見ても数式だらけで理解できない
  • 確率の乗法定理ってイマイチ分からない
  • 確率に条件なんてつけられるの?

この講座では特に、0の状態から統計検定2級に合格したいって方のために、分かりやすさをモットーに解説していきます。

今回は確率の中級編として、確率の乗法定理と条件付き確率につてい学んでいきましょう!
統計検定2級では出題率の高い範囲ですので、しっかりと覚えて確実に得点に繋げていきましょう。

 

確率の乗法定理とは?

確率の乗法定理とは、2つの事象AとBが同時に起こる確率Pは、Aが起こる確率とBが起こる確率の積で求められる定理です。

例えば、↓のような問題を解けます。
「くじが10枚あり、そのうち当たりは4枚入っています。A君とB君が順番にひいた時、2人とも当たりをひく確率を求めなさい。」

前に学んだ独立試行の場合は、1回目の結果が2回目の確率に影響を及ぼさないパターンでした。
しかし今回の場合は、1回目にくじをひく事で、2回目以降のくじの枚数が減り、確率に影響を及ぼします。

この様な場合の計算方法を見ていきましょう。

 

確率の乗法定理の公式

$P(A \cap B)=P(A)P_A(B)$

この式を使えば求める事ができます。
一見難しそうですが、ただ掛け算をすれば良いだけなので簡単です。
まずはそれぞれの記号の解説です。

 

  • $P(A \cap B)$:前にやった「AかつB」を表しています。
  • $P(A)$:事象Aの確率
  • $P_A(B)$:事象Aが起こったという条件のもとで事象Bが起こる確率

この様な意味になっています。
では先ほどの例題、「くじが10枚あり、そのうち当たりは4枚入っています。A君とB君が順番にひいた時、2人とも当たりをひく確率を求めなさい。」にあてはめて考えてみましょう。

 

  • $P(A)$はA君がくじを引き10枚の中から4枚ある当たりを引く確率ですので、$\frac{4}{10}$です。
  • $P_A(B)$はA君が当たりくじを引いたという条件のもと、B君が当たりをひく確率です。当たりくじが1枚減っていますので、$\frac{3}{9}$です。

 

これらをもとに計算してみましょう。

 

$P(A \cap B)=\frac{4}{10} × \frac{3}{9}= \frac{2}{15}=0.1333……$

 

A君B君ともに当たりを引く確率は0.1333…という事が分かりました。

 

 

条件付き確率

続いて条件付き確率について解説します。
実は条件付き確率は前のセクションで既に出てきています。

$P_A(B)$

↑この式を既に見ていると思います。
これは、「Aという条件のもとでBが起こる確率」を表しており、まさに条件付の確率ですね。

また、資料によっては↓のように表すところもあります。
意味は一緒で、Aという条件のもとでBが起こる確率を示しています。

$P(B|A)$

 

例えば、

「ある40人のクラスで、男子生徒は25人、女子生徒は15人である。また塾に通っている生徒は男子10人で、女子生徒は8人である。無作為に1人選んだ生徒が男子である場合、その生徒が塾にも通っている確率を求めよ。」

この様な問題を解いてみましょう。

 

条件付き確率の公式

$P_A(B)=\frac{P(A \cap B)}{P(A)}$

 

この公式を使う事で解く事ができます。

「また覚えなきゃいけないの~!」っと思うかもしれませんが、実はこの公式は確率の乗法定理を展開させただけなのです。
実際にやってみましょう。

 

$P(A \cap B)=P(A)P_A(B)$

$\frac{P(A \cap B)}{P(A)} = P_A(B)$

$P_A(B)=\frac{P(A \cap B)}{P(A)}$ ←条件付確率の公式

 

統計検定の試験ではこの展開の知識が必要な問がでてきますので、しっかりと押さえておきましょう。

 

 

では実際に公式を使って先ほどの問題を解いてみましょう。

「ある40人のクラスで、男子生徒は25人、女子生徒は15人である。また塾に通っている生徒は男子10人で、女子生徒は8人である。無作為に1人選んだ生徒が男子である場合、その生徒が塾にも通っている確率を求めよ。」

 

まず、$P(A)$(事象Aの確率)を求めます。
この場合の事象Aは、1人選んだ生徒が男子である場合の確率ですので、↓で求められます。

$P(A) = \frac{25}{40} = \frac{5}{8}$

次に、$P(A \cap B)$つまり$P(AかつB)$を求めます。
これは、男子かつ塾に通っている確率です。(これは条件付確率では無くAND条件ですね。)
問題文から男子で塾に通っている生徒は10人という事が分かるので、クラス全体の人数40を使い↓の式から求める事ができます。

$P(A \cap B) = \frac{10}{40}=\frac{1}{4}$

 

では最後に公式にあてはめましょう。

 

$P_A(B) = \frac{\frac{1}{4}}{\frac{5}{8}}=\frac{1×8}{4×5}=\frac{8}{20}=\frac{2}{5}$

 

このように、答えが$\frac{2}{5}$つまり$0.4$だという事が分かりました。

 

 

独立事象の乗法定理

ここで更に一歩進みます。
少し複雑になるので、ゆっくり読み進めましょう!

まず今回の「1人選んだ生徒が男子である場合、その生徒が塾にも通っている確率」である$P_A(B)$は、塾に通っている確率(条件無し)である$P(B)$と、確率が異なります。

$P(B)$は、クラス40人中18人塾に通っているので、まとめると↓になります。

  • $P_A(B)$:$\frac{2}{5}$
  • $P(B)$:$\frac{18}{40}=\frac{9}{20}$ 

このように、確率が異なっていますね!
そりゃ当たり前ですね、事象Aという条件がある$P_A(B)$と、$P(B)$は事象Aが起ころうが起こらなかろうが、確率は変化しないですからね。

このように、

事象Aによって事象Bの確率が変わる場合、独立事象ではありません。

 

逆に、$P_A(B)=P(B)$となるように、事象Aに関係なく事象Bの確率が同じ場合は独立しているのです。

えいせい
えいせい
確率では独立という言葉た多く出てくるので、独立かどうかが大事という事が分かりますね!

 

独立の証明

例えば、クラスの男女比率が同じ場合のケースを見てみましょう。

「ある40人のクラスで、男子生徒は25人、女子生徒は15人である。また塾に通っている生徒は男子10人で、女子生徒は6人である。無作為に1人選んだ生徒が男子である場合、その生徒が塾にも通っている確率を求めよ。」

赤字の箇所が変更点です。

 

この場合の$P_A(B)$と$P(B)$の確率を見てみましょう。
まず$P(A)$と$P(A \cap B)$を求めます。

 

$P(A) = \frac{25}{40} = \frac{5}{8}$

 

$P(A \cap B) = \frac{10}{40}=\frac{1}{4}$

これをもとに公式にあてはめます。

 

$P_A(B) = \frac{\frac{1}{4}}{\frac{5}{8}}=\frac{1×8}{4×5}=\frac{8}{20}=\frac{2}{5}$

 

$P_A(B)$が$\frac{2}{5}$という事が分かりました。
次に$P(B)$を求めます。40人の中で塾に通っている生徒の数なので、男子の10人と女子の6人を足して↓のように計算します。

$P(B)=\frac{16}{40}=\frac{2}{5}$

 

この様な、結果になりました。
驚きですね、$P_A(B)$と$P(B)$の確率が一緒です。

この結果から、事象Aと事象Bは独立していると言えるのです。

 

$P_A(B)=P(B)$ :事象Aと事象Bが互いに独立している。

 

 

独立事象の乗法定理とは?

まず、最初にやったただの情報定理の式を見返しましょう

$P(A \cap B)=P(A)P_A(B)$

 

これでしたね。
ただよく見ると、$P_A(B)$があり、独立している場合は$P(B)$と置き換えても大丈夫でした。

 

このように、事象Aと事象Bが互いに独立しているとき、↓の式が成り立ちます。

$P(A \cap B)=P(A)P(B)$

これを独立事象の乗法定理といいます。

えいせい
えいせい
これを独立事象の乗法定理といいます。

 

 

練習問題

袋の中に赤い球が3個、白い球が2個入っている。A君とB君が球をひとつずつ取り出したとき、二人とも白い球が出る確率を求めよ。取った球は戻さないものとする。

答え:$\frac{1}{10}$

 

確率の乗法定理を使い、以下のように求めます。

$P(A \cap B)=P(A)P_A(B)$

 

$P(A) = \frac{2}{5}$
$P_A(B) = \frac{1}{4}$

$P(A \cap b) = \frac{2}{5} × \frac{1}{4} =\frac{1}{10}$

 

 

これは良く見る問題ですが、理解度を測るのに非常に素晴らしい問題です。

ある夫婦には子供が2人いる。少なくとも1人が男の子である時、2人とも男の子である確率を求めよ。

答え:$\frac{1}{3}$

 

条件付確率で求められそうですね。

$P_A(B)=\frac{P(A \cap B)}{P(A)}$

まずは子供の組合せを考えましょう。

[男、男][男、女][女、男][女、女]

この4通りがあります。
まず事象Aである、すくなくとも一人が男の子のパターンは、上記の組合せの中で3通りあります。ですので、

$P(A) = \frac{3}{4}$

です。つづいて事象Bである2人とも男場合です。
$P(A \cap B)$の確率を求めるのですが、上記の組合わせの中で、2人も男の子の組合わせは1つだけです。ですので、

$P(A \cap B) = \frac{1}{4}$

となります。最後に公式にあてはめます。

 

$P_A(B)=\frac{\frac{1}{4}}{\frac{3}{4}}=\frac{1×4}{4×3}=\frac{1}{3}$

 

あるクラスでは男子生徒30人、女子生徒は20人である。この中で部活に入っているのは、男子15人、女子10人である。この場合、生徒が男子生徒である事象をA、部活に入っている事象をBとすると、事象Aと事象Bは独立しているか?

答え:独立である

 

独立である条件としては、

$P(AかつB)=P(A)P(B)$

が成り立てば良いのでした。
まずは↓の3点を求めましょう。

  • $P(AかつB)$
  • $P(A)$
  • $P(B)$

 

$P(AかつB)$は、男子生徒かつ部活に入っている生徒数なので、

$P(AかつB)=\frac{15}{50}=\frac{3}{10}$

です。次に$P(A)$と$P(B)$を求めます。

$P(A)=\frac{30}{50}=\frac{3}{5}$

$P(B)=\frac{25}{50}=\frac{1}{2}$

という事が分かりました。
$P(AかつB)=P(A)P(B)$が成り立つか確認してみましょう。

$P(AかつB)=\frac{3}{5}×\frac{1}{2}=\frac{3}{10}$

という事で、上記で求めた$P(AかつB)=\frac{3}{10}$とイコールになり、式がなりたつので独立だと分かりました。

 

 

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